2009年1月18日日曜日

恋はしむ

 昨日の支社の歌会でこの「恋はしむ」を使った作品があった。「恋ほしむ」の誤用ではないか・・などと、いろいろ議論があったが、私は「恋ほしむ」は自分が誰かを、または何かを恋しく思っているとき(自力的に)。「恋はしむ」は何かが、または何かの事象が自分の心をそのように(或るものを恋しく)思わせる(他動的に)・・。と解釈し発言したが少し心許なく思っていた。で、帰宅してからいろいろ調べてみた。広辞苑では「恋ほしむ」しか載っていない。愛用の旺文社の古語辞典にもこの「恋はしむ」はない。 動詞活用表を見てもどう活用するのか、どうもよく分からない。そこでネット検索してみると、短歌作品にはその用例が多く載っている。勝手ながらその短歌作品のみ、ここにコピーさせていただくことにする。
◎「逢ふ期(ご)なき妻にしあるをそのかみの処女(をとめ)となりてわれを恋はしむ」窪田空穂
◎「柿赤き硝子戸ごしの暖き秋の日ざしは人を恋はしむ」長澤英輔
◎「紫陽花の散り得ぬ花の咲きつぎてすでに散りたる人を恋はしむ」井谷まさみち
 この他にもまだまだあるが、概ね私の解釈した意味、用法でまちがいなさそうであった。しかし文法的に斯く斯く然々であると、理路整然とその場で述べることが出来ないのはなんとも非力なことで恥ずかしいことである。

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